一般社団法人 全国建築コンクリートブロック工業会

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ブロック塀大事典

  • Question.01ブロック塀に使われるブロックはどのようなものですか。

    一般にブロック塀といわれている塀は、正式には補強コンクリートブロック塀といわれ、コンクリートブロックを積んだ壁(塀)を鉄筋で補強したものをいいます。

    これに使われるブロックはJISで決められており、その種類のうち圧縮強さによる区分の記号で12(B)16(C)を、厚さは12cm(塀の高さ2m以下)と15cm(塀の高さ2.0~2.2m)を使います。また、ブロック表面に化粧を施したブロックも使われますが、これもJIS品と同等以上の品質を有したものを使います。

  • Question.02一般にブロック塀とよばれているものにはどのようなものがありますか。

    世間一般にブロック塀と呼ばれているのは

    a.コンクリートブッロクを使ってつくる塀で、このホームページで解説しているブロック塀です。この塀には日本建築学会が設計規準や施工マニュアルで設計および施工規則を決めています。

    b.通常のコンクリートブロックの空洞を大きくして、この大きな空洞部に鉄筋を入れコンクリートを全充填する型枠コンクリートブロック(メーソンリー)造といわれる塀があり、補強コンクリートブロック塀の一種として日本建築学会が設計基準や施工マニュアルで設計および施工の規則を決めています。

    c.天然石を積んでつくる塀で、日本建築学会で組積造として設計規準があります。この塀は地震で倒れないように補強する鉄筋が入らず、ダボといわれる短い鉄筋で上下の石をつなぐ工法を採用しています。このダボが規定どおりに施工されていない塀が地震時に倒壊し、これをブロック塀の倒壊とニュース報道され、通常のブロック塀とよく混同されています。

    d.ブリックと呼んでいるレンガ状のもの、石塀に似せた大き目のブロックをつかったもの、高さが低く長さが短いブロックなどのコンクリートブロックの範囲に入らないもので、各ブロックメーカーが工夫した塀があり、この設計規準や施工方法などはメーカー仕様でつくられます。

  • Question.03最近、ブロック塀をつくりました。このブロック塀は何年くらいもつのでしょうか。また、長く持たす方法はあるのでしょうか。

    法規を守って、良い施工された厚さの厚い(15cm)ブロック塀の耐用年数(寿命)は30年程度といわれています。一般にはこれより薄いブロックを使うことが多いので、当然短くなります。

    ブロック塀は、ブロックの中に横からの力に抵抗する鉄筋が入っています。この鉄筋は、塀のメンテナンスをしていないと15年程度で錆び始め、鉄筋が細くなり、ブロック塀は自重でのみで自立している状態に近くなります。また、時間がたてばブロック塀の寿命と関係なく風雨に曝され汚れてきます。かび、水垢などは長い年月が経過すると付着します。

    これらはメンテナンスを行なうことによってブロック塀の寿命が延びます。このメンテナンスは一般に薬品などの塗布などに行なわれています。施工した業者の方かブロックメーカーにご相談してください。

    ブロック塀は、地上の塀の部分以上に地中に隠れている基礎が大切です。鉄筋コンクリートでつくられる基礎は、その厚みや地中に入る深さが規定どおりであれば、地震に対して安全です。

  • Question.04福岡の地震でブロック塀が倒れて、人に被害がでたと聞きました。ブロック塀は、そんなに危ないものですか。

    ブロック塀を建てる場合は、建築基準法や日本建築学会で塀の高さとブロックの厚さ、基礎の深さと大きさ、鉄筋の太さと間隔など細かく決められています。この規定のそってつくられたブロック塀は、阪神大地震の揺れにも「びくともしない」ことは都市住宅技術研究所で行われた振動実験で立証済みです。

    しかしながら、見た目はきれいでも、必要な基礎が小さかったり鉄筋の配筋が規定どおりでなかったら、震度5程度の地震で倒れることがあります。塀をつくるときは法規を守るよい業者に依頼しましょう。

  • Question.05道路と敷地の高さの差が1.0mほどあります。この土留めに厚さ15cmの空洞ブロックを積む設計になっています。これで大丈夫ですか?

    高さが1mもある土留めは、空洞ブロックでは後ろの土の重量などを支えるだけの必要な強さ(必要な鉄筋の配筋など)が発揮できません。鉄筋コンクリート造など、他の構工法を考えてください。

  • Question.06隣でブロック塀を造っています。地面を30cmほど掘り砂利を敷いて、1mほどの鉄筋をたてモルタルを5cm厚さほど打込み、数日後ブロックを積みはじめました。これでいいのでしょうか?

    ブロック塀の高さが判りませんが、鉄筋が1mほどたっているので、ブロック塀の高さは5段(1m)以上となると思います。ブロック塀の法規では塀の高さに応じた基礎の大きさなどが決められています。基礎は鉄筋コンクリート造として、塀の中に入れられる鉄筋をこの基礎内にしっかりと固定しなければなりません。

    したがって、鉄筋をモルタルに差し込んだままということは、鉄筋コンクリート造の基礎を省略するつもりと思われます。また、中程度の地震でもこの鉄筋が抜け出し倒れる恐れがあります。非常に危険です。お隣とご相談するか、役所の担当窓口で相談して下さい。

  • Question.07私の敷地は道路より80cmほど高く、コンクリートで土留めをしています。この土留めの上に高さ1.8m程度のブロック塀をつくる予定をしていますが、ブロック塀の高さに制限があるのでしょうか。

    ブロック塀の高さは、道路面から(蓋のない側溝がある場合は側溝の底から)土留めを含めたブロック塀の頂部までが2.2mと規定されています。したがって、土留めの高さが80cmとすれば2.2m-0.8m=1.4mでブロック塀の高さは1.4m以下としなければなりません。

    また、土留めの高さが1m以上の場合は、ブロック塀の高さは1.2m以下にしなければなりません。鉄筋はブロック塀に合った太さと間隔をあらかじめ配筋して下さい。

    どうしても、1.8m高さブロック塀を造る場合は、土留めから敷地内に1.0m程度後退してつくってください。なお、土留めは、塀を直接のせるにしても、後退してつくるにしても、ブロック塀の影響を考えた構造の土留めとすることが大切です。

  • Question.08いま1.2m高さのブロック塀があります。これを1.8mまで高くしたいのですが。

    ブロックを積上げるのは危険です。これは高さが高くなればブロックの厚さを厚くする必要があります。また先に積んだブロック塀が積上げることを考えて厚いブロックを用いていても、鉄筋をこれから継ぎ足すことになります。このような鉄筋の継ぎ足しは、溶接をして接ぐ場合を除き、地震のときの揺れに効き目がなく、この部分で塀が折れたり、全体が倒れることが考えられます。

    また基礎も全体の高さに対応していなければなりません。金属製の柵などを取り付ける方法もありますが、今度は台風などの風圧による倒壊も考えなければなりません。専門家などにご相談してください。

  • Question.09塀の意匠上、風通し上、透かしブロックを多く使いたいのですが?

    透かしブロックの多くは、塀の倒壊を防ぐための縦・横の鉄筋が通らない形の四角形(鉄筋を通す溝がない)に意匠のための穴を開けているだけというものです。鉄筋の入らない塀は地震などの揺れに対する強さが足りません。透かしブロックを使うときは、鉄筋が入る溝があるもの使い、透かしブロックを連続させずに鉄筋が必要間隔に入るように考えて使ってください。

  • Question.10最近、レンガ状のブロックを積み上げる塀を見かけますが、高さなど制限はありますか。

    最近使われ始めたレンガ状ブロック(一般にブリックと呼ばれている)は、塀としての法的な規制はまだありません。このブリックで積み上げる塀も普通のブロック塀と同じように、基礎は鉄筋コンクリート造として、鉄筋も十分に入れないと地震で倒れる危険があります。このブリックを使って塀をつくる場合は、そのメーカーに問い合わせてください。

  • Question.11ブロック塀の表面が白っぽく粉を吹いた状態になっています。どうすればよいのでしょうか。

    この現象はコンクリート製品に時々見られるもので、白華(エフロレッセンス)といわれる現象で、塀の上部や目地部分からブロックの空洞部に侵入した水にセメントのアクが溶け出し、この水が徐々に外へでてきて、水が蒸発した後に白っぽくなっている状態のこといいます。

    この現象は製品に悪影響は与えませんが見栄えが悪いので、ワイヤーブラシや皮すきなどの工具を使ってそぎ落としてください。その後は各ブロックメーカーで取り揃えている白華防止剤などを塗布することをお薦めします。

  • Question.12ブロック塀でたまに色むらを見ますがどうしてですか。

    ブロックそのものに色をつける場合、色粉を混ぜて発色させます。この場合、全製品を同じ調合でつくりますが、形の違い、つまり一般の部分に使う基本形と隅に使う隅用、水平の鉄筋を入れる横筋用など形の違いから、ブロックの成形に多少の違いがあります。これができあがった製品の肌の微妙な差で色が違って見えることがあります。

  • Question.13隣家との境にブロック塀をつくりたいのですが、自宅と塀の間隔がなく控え壁がつくれません。どうしたらよいのでしょうか。

    ブロック塀で控え壁が必要な高さは良い地盤で1.6m(通常は1.2m)以上です。控え壁には空洞ブロックをつかってつくる補強コンクリートブロック造、型枠コンクリートブロック造、鉄筋コンクリート造とあり、いずれも40cm以上塀から直角にだしてつくります。控え壁が無理な場合は鉄筋コンクリート造の柱で補強する方法がよいでしょう。柱の太さは30cm角程度になりますが、壁面から15cm程度の突出ですみます。

  • Question.14ブロック塀をつくりたいのですが、よい業者を探すにはどうすればよいでしょう。

    各メーカーに直接ご相談頂くか、役所の相談窓口等で紹介してくれると思います。

  • Question.15今検討している塀の高さが、地面より2.3mあります。どうしてもこの高さが必要です。2.2mの上限を10cm程度なら高くしても大丈夫でしょうか。

    建築基準法では、コンクリートブロック塀の最大施工高さは2.2m以下と規定されています。この高さを超えて施工する場合は、国土交通大臣が定める基準に従った構造計算によって安全であることを確かめる必要があります。

    施工現場の条件をよく検討し構造設計をすれば施工可能となります。地元の建築設計事務所にご相談ください。

  • Question.16コンクリートブロック壁の耐火性能はどのくらいあるのですか?

    耐火構造の構造方法を定める件(平成12年5月30日建設省告示第1399号)で規定されています。 下記のとおり(壁の抜粋)

    【2時間耐火】
    ・鉄材によって補強されたコンクリートブロック造の、ブロックの肉厚及び仕上材料の厚さの合計が8cm以上であり、かつ、鉄材に対するコンクリートブロックのかぶり厚さが5cm以上のもの

    【1時間耐火】
    ・鉄材によって補強されたコンクリートブロック造の、ブロックの肉厚が5cm以上であり、かつ、鉄材に対するコンクリートブロックのかぶり厚さが4cm以上のもの
    ・コンクリートブロック造の、ブロックの肉厚及び仕上材料の厚さの合計が7cm以上のもの

  • Question.17現在古い塀が建っています。この塀の診断をしたいのですが、何処にお願いすればよいのでしょうか?

    (社)日本建築ブロック・エクステリア工事業協会が実施するブロック塀診断士制度があります。各地区に多くのブロック診断士が登録されています。ブロック塀全般において材料、施工、規準様々な視点で、既設ブロック塀について調査点検をして頂けます。詳しくは、こちらにご相談ください。