8-2. ブロック塀の転倒・劣化の防止
安全のためのチェックポイント 1
- 鉄筋コンクリートの基礎が設けられている。
- 基礎は、T形はL形の形状にすると抵抗力が向上します。また、軟弱地盤では、鋼管杭打ち基礎も効果的です。
一方、基礎の不適正な物は、横からのわずかな力で転倒します。
- 基礎は、地中深く根入れされている。
- 日本建築学会では、40cm以上の根入れを規定しています。
- 地盤は、基礎からの転倒に抵抗できる
- スコップで掘るのが困難なところは、抵抗力の大きい地盤です。
上の図はブロック塀の基礎における力の釣合モデルです。
ブロック塀は、地震や風による横からの力(Q)を受けると、基礎におけるQ1・Q2という力で地盤を押します。
この時、地盤は、R1・R2という力で転倒に抵抗します。また、壁体と一体化された控え壁も、基礎からの転倒防止に効果があります。
基礎からの転倒を防止するためには、
1. 基礎の根入れを深くする。
2. 地盤の抵抗力を高める。
ことが大切です。
安全のためのチェックポイント 2
- 縦方向の鉄筋は、適正に配置されている。
- ブロック塀は、規準により必要な鉄筋間隔が決められています。
- ブロックは、強く適正な厚さである。
- ブロック塀は、高さにより必要壁厚が決められています。
- ブロックには、ひび割れや欠けなどの損傷がない。
- 外観の損傷は、性能低下の現れです。
- 壁体には、傾きやぐらつきがない。
- 自立構造物では、倒壊に結びつく致命的な現象です。
上の図はブロック塀の壁体部における鉄筋とブロックとの力の釣合モデルです。ブロック塀は、地震や風による横からの力(Q)を受けると、点Oを中心として回転しようとします。
このとき、壁体は、鉄筋に生じる引張力Tに抵抗する力T1と、ブロック表面に生じる圧縮力Cに抵抗する力C'の、複合作用により抵抗します。
壁体からの倒壊を防止するためには、
1. 必要量の断面積をもつ鉄筋を配置する。
2. 強く適正な厚さのブロックを使用する。
ことが大切です。
劣化のメカニズムとメンテナンス
ブロック塀は、良い設計・施工で作られたものでも、常に外気に接する過酷な環境にあるため、約20年で鉄筋にさびが認められるようになります。日本建築学会の調査によると、ブロック塀に期待する耐久年数は約30年です。木造住宅を30年使用するには、適切なメンテナンスを施さなければなりません。ブロック塀も、メンテナンスされることを望んでいます。ブロック塀の劣化のメカニズムをよく理解し、常に健全な状態に保ちましょう。
転倒防止対策
ブロック塀は、最も単純な自立構造物であるため、一ヶ所の破壊が全体の崩壊につながる危険性をもっています。転倒防止対策の目的は、道路側へのブロック塀の倒壊を防ぎ、被害を最小限に食い止めることです。過去の地震において、電柱等のわずかな支えがブロック塀の転倒を防ぎ、人の命を守った事例があります。今なら有効です、立地条件に応じた転倒防止対策を施しましょう。取り返しのつかない事態を未然に防ぐのは、あなたの責任です。